「薬剤師」とは、薬剤師国家資格を取得している事が必須です。
白衣を着た薬局や漫画・ドラマでも紹介された病院薬剤師のイメージが強いと思います。
しかし、「薬剤師」には幅広い働き方があります。
国家資格が必須な仕事〜国家資格がなくても従事可能だが、薬剤師になるために学んだ知識を活かした仕事も多くあります。
薬剤師の社会的役割、薬剤師になる方法、薬剤師になってからの働き方、現状と将来性なども説明します。
1.薬剤師の法律上の社会的役割
「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。」
薬剤師法の第1条
とされています。主に医療現場での薬剤師に関わる法律となっています。
2.薬剤師になるには(方法)
大学の薬学部で6年制の薬剤師養成課程を修了(4年制+大学院2年の薬剤師養成課程を修了)
その後、薬剤師国家試験に合格して薬剤師免許を取得することで「薬剤師」になれます。
大学には6年制と4年制があり、4年制の学科であれば卒業後に大学院に行く必要があります。
- 薬剤師の養成を目指す6年制課程(例:薬学科、医療薬学科、漢方薬学科など)
- 研究者の養成を目指す4年制課程(例:薬科学科、創薬科学科、生命薬科学科など)
3.薬剤師の働き方(仕事内容)や就職先
薬剤師になってからの働き方は医療現場やメーカーなど多岐に渡ってあります。
病院薬剤師
患者さんに医薬品を有効かつ安全に使用していただくため、日々最新の知識と技術を学び研鑽して、入院患者や外来患者への薬のアセスメントをしていきます。医師への薬の処方提案なども日常茶飯事です。
- 調剤業務
- 製剤業務
- 注射調剤業務
- 注射薬混合調製業務
- 外来化学療法室
- 医薬品情報業務
- チーム医療
- 病棟薬剤業務…etc
調剤薬局
「薬剤師が調剤(処方箋に基づき薬の調製や間違いが無いかの監査、患者へ薬の飲み方などを伝える服薬指導をすること)を行う場所」と薬機法で定められています。
調剤薬局は医療用医薬品をメインに扱う場所を指します。
薬の相談や在宅医療など地域密着型になります。
- 調剤業務
- 服薬指導業務
- 薬歴業務
- 在宅業務…etc
ドラックストア
法的な定義はなく、主に扱う医薬品としては一般医薬品が中心となります。
近年ではドラッグストアを展開する多くの企業が店舗に調剤薬局を併設する形で積極的に調剤薬局の数も増やしております。
- OTC医薬品の販売業務、
- レジ打ち
- 品出し
- 陳列
- 在庫管理
- 調剤業務…etc
製薬会社
多くが営業(MR)です。医薬品を医師などの医療関係者へ届けることが主な仕事です。
専門知識が必要ですが、文系でも目指すことが可能な職種です。
他にも、医薬品に関する法務的業務を行う薬事部門、市販後の医薬品における知見や報告データの取り扱う学術部門などがあります。
医薬品卸販売会社
イメージ的には、研究開発している製薬会社と医療現場の間に入り、医療現場に直接お薬などを届けることが主な仕事になります。
- 薬剤情報業務
- 医薬品の情報収集・提供
- 薬事管理
- 品質管理…etc
行政薬剤師
少し意外な職業が出てきました。
自衛隊は学校なども少し特殊な就職方法になります。
- 麻薬取締官
- 自衛隊薬剤師(薬剤官)
- 刑務所薬剤師(法務技官)
- 学校薬剤師
公務員薬剤師
国家公務員薬剤師とは、厚生労働省をはじめとする国の機関に所属する者です。
医薬品や薬剤師に関する
- 制度の整備
- 管理・監視
地方公務員薬剤師とは、地方自治体(都道府県・市区町村など)に所属する者です。
- 役所勤務
- 公立病院
- 保健所
- 衛生研究所
化粧品会社
- 化粧品の開発部門
- 薬機法関連部門
に配属されるのが一般的です。適正によっては、他の部署に配属も可能となります。
食品会社
飲食品やサプリメントの商品開発に関わる仕事が多いです。
- 品質管理
- 製品開発
治験コーディネーター(CRC)
治験に関わる業務の調整役に当たります。煩雑な治験業務を多方面からサポートするのが主な業務となります。
医薬品開発業務受託機関(CRO)
治験業務を製薬会社から委託され、代行するのがCROです。
大学教員
薬に関する教育(講義)と研究を行います。
薬剤師フリーランス
仕事内容はさまざまなものがあり、更にコロナの影響もあり在宅ワーク可能なものまであります。
- メディカルライター
- 医療翻訳といったライター業
- 薬剤師や医療関係の情報を発信
- 医療関係者をつなぐマッチングビジネス
- ユーチューバー…etc
4.薬剤師のやりがい
薬剤師国家資格を取ってからの働き方は本当に幅広くあります。
やりがいも人それぞれ異なると思います。
- 患者さんに直接医療現場で貢献したい人
- 患者さんに間接的に貢献したい人
- 営業職で数字を出したい人
- 研究に興味がある人…etc
多岐に渡るので、薬剤師になってからの「やりがい」は自分で見つけていくものだと思います。
薬剤師の転職も難しくなってきているが、国家資格であり多職種よりは転職もしやすいので、自分に合っていなければ職種を変更してみるのも一つの手だと思います。
5.薬剤師の平均年収
薬剤師の年収は他業種と比べると平均年収は、高い水準となっています。
薬剤師の中でも職種によって、大きく異なる事や地域によっても、平均年収は変わってきます。
一般的に都心部の方が年収は高くなりますが、薬剤師は都心部以外の方が薬剤師の供給が間に合っておらず、年収は高くなります。
「令和元年分民間給与実態統計調査」での職種別平均年収
- 薬剤師全体:548.3万円(男性540万円、女性 296万円)
- 薬局:583.8万円
- 病院:521.7万円
都道府県別の平均年収(1位と最下位)
- 1位「静岡県」の698.6万円
- 47位「長崎県」の428.2万円
地域により250万円以上の差が出てきています。
6.薬剤師の現状
薬剤師はまだ有効求人倍率は2.65倍。全職業の平均1.02倍に比べると、まだまだ需要は高いといえます。(厚生労働省が発表した令和2年5月の「職業別一般職業紹介状況[実数](常用(含パート))」)
現在は、コロナ禍で急速に薬剤師業界にも変化がやってきています。働き方改革など課題は山積み状態です。診療報酬(売上に影響する点数)改定も対人業務に力を入れてきており、コロナの影響もあり、経営が追いつかない所も出てきています。
デジタル化や社会的役割にいかに順応出来るかによって、明暗が別れてくるかと思います。
新卒病院就職、離職、コロナ禍での調剤薬局転職の経験で分かった事、薬剤師の現状と将来性 まとめ
7.薬剤師の将来性
毎年多くの薬剤師が輩出されており、薬剤師数が過剰で飽和状態になりつつあります(地域で異なる)。
医療現場で働く場合もキャリア、スキル、コミュニケーション能力などが重視されています。
AIの普及についても考えなくてはなりません。AIで多くの事が可能になってきている現在、将来はもっと普及されていくと考えられます。AIに出来ない事をする役割分担なども必要になってくるため、コミュニケーション能力などは必須となるでしょう。
経済財政運営と改⾰の基本⽅針(2021)から薬剤師関連の将来を推測
まとめ
薬剤師について、薬剤師とは〜薬剤師の将来性までざっくりとですが、説明させて頂きました。
時代のニーズの変化が著しいので、現状と将来性についてはふんわりとしてしまいました。
「薬剤師」に興味を持って頂けたらと、思います。
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